◇子供時代編----------------------
兄弟は、並べられた人形のように白いベッドに腰掛けていた。髪は鈍色、瞳は明るい灰色で、ひたすらに見開かれている。
「珍しいものでも見たか」
わたしの言葉に、ふたりは同時に赤くなったが、右側は目をしばたたき、左は顰めた。おなじ人形ではないらしい。
◇コリエル時代編-----------------
12号は半身だ。それが、教団内での定説だった。
かれは教団の中枢、コリエルメンバーに最年少で名を連ねる青年で、教団内では以前からなにかと目立つ存在だった。
尋常でない生い立ちが、普通の団員として埋もれることを許さない。かれは、文字どおり自分の『半身』である兄を亡くしているのだ。
口数が少なく、もの静かで表情に乏しい。職務のあるとき以外は殆ど出歩くことも無く、口さがない者たちは、そんな生気の無さを『半身』と揶揄した。