目の裏にある色彩に
いつもしがみついていた
苦しいばかりで嫌になって
事実を知るのがつらかった
時の止まった空の果て
ぼくはきみの名を呼んだ
忘れるほどに繰り返し
ひとりになるのが怖かった
欠けてしまった歯車は
空回りのまま音を立ててる
噛み合うことのない日々を
しきりに言い聞かせるように
忘れたいんだ どうしても
だけど消えてはくれないよ
臆病なぼくを見ているの?
涙を流すこのぼくを
たそがれていく空色の
世界は闇と溶け合って
ぼくのため息さえすべて
焦げ付かせてゆくだろう
忘れたいよ どうしても
それでも消えてくれないよ
えぐるような痛みが胸に
ひとりの時を刻んでく
不完全なる世界は回る
過剰に自己を主張しながら
うなり声をあげながら
砂塵を紅く巻き上げながら
佇み今日も思い出すのだ
歪んだ妄想――バロックを